スマホアプリ開発を始める際に、iOSとAndroidどっちから始めるべきか悩む方は多いでしょう。そこで複数の観点からiOSとAndroidを比較し、初心者にどちらがおすすめなのか検証していきます。
iOS、Androidの比較基準
iOSとAndroidを比較するにあたって、複数の基準があります。具体的には以下のようなものが挙げられるでしょう。
日本国内でのシェア
バージョンへの配慮
ターゲット層
ダウンロード
マネタイズ
開発のハードル
不具合の数
リリースの費用
以上のような比較基準が挙げられます。それぞれの比較基準について解説していきます。
iOS、Androidの日本でのシェア
日本国内でのiOS、Androidのシェアは拮抗しています。厳密には年によって変動しますが、iOSが66%です。ただし世界的にはAndroidが優勢で、約70%程度がAndroidです。つまり日本国内においてはiOSが優勢、世界的にはAndrodが優勢ということです。
この結果を見ると世界的なシェアで言えばAndroidの方が汎用性が高そうですが、Androidの場合はある程度対象の端末やバージョンを絞って開発する必要があります。すべてのAndroidを対象にするのは難しいということです。
一方で、iOSの場合は対象はiPhoneなのでAndroidのように端末にばらつきはありません。またバージョンアップもアプリとの互換性を考えて行われるので、アプリの不具合が発生しにくいです。
そして国内のシェアはStatCounter(アイルランドの企業が提供しているアクセス解析サービス)によると、66%(出典:https://gs.statcounter.com/os-market-share/mobile/japan)なので、日本国内を対象にするならトータルで見てiOSに分があると言えるでしょう。ターゲットを世界にする場合も、必ずしもシェアの大きいAndroidに分があるとは言えません。
国内のシェア、端末の種類数、バージョンなどトータルで考えて、iOSの方をおすすめします。Androidのバージョンについては以下で解説します。
Androidはバージョンへの配慮が必要
Androidは端末によってバージョンが様々で、またiOSに比べるとアプリとの互換性への配慮が薄いです。その結果、アプリに不具合が生じる可能性が高いです。アプリ開発側はいろいろな端末、バージョンでテストする必要があり、リリース後にOSがバージョンアップした際の対応も求められます。
iOSよりもリリース後の手間がかかるので、これはAndroidのデメリットと言えるでしょう。
ターゲット層が異なる
あくまでも傾向ですが、iOSユーザーの方が年齢層、所得が高い傾向にあります。Androidユーザーは世代が若く、また所得は低めです。アプリを開発する際にはターゲットを想定しますが、自分の開発したいアプリがiOS、Androidどちらの層に合っているかを考える必要があるでしょう。
課金するタイプのアプリの場合はiOSの方が資金力のあるユーザーが多い分有利ですが、無料のアプリならどちらに分があるとも言えません。一長一短なので、あくまでもアプリとの相性です。
審査基準
アプリをリリースする際の審査基準については、Androidに分があります。iOSはそれなりに厳しい審査基準があるのに対し、Androidは審査がありません。ほぼ無条件にアプリをリリースできます。
そのためリリースまでのスピードとしてもAndroidの方が早く、iOSは審査時間がかかります。ただしAndroidのアプリは後からアカウント停止などの制裁が下される場合があります。
その点iOSは審査をクリアすれば途中で停止されるようなことが少ないので、総合的に見ればiOSとAndroidどちらが良いかは微妙なところでしょう。
ダウンロード
ダウンロード数が伸びやすいのはiOSです。Androidは審査基準が緩いことからアプリ数が多く、その分ライバルが多いということになります。iOSはAndroidよりもアプリの数が少ないので、ダウンロード数が伸びやすいということです。
またお金はかかりますが、iOSをリリースするApp Storeでは広告などの機能も充実しています。どうしてもアプリを上位に表示したい場合には広告も活用できるので、Androidに比べるとアプリをダウンロードしてもらうための手段が用意されています。
Google Playにはこのような機能がないので、Androidは気長にユーザーを増やすしかありません。
マネタイズ
マネタイズしやすいのはiOSです。理由としては、まず上でご説明した通りiPhoneユーザーの方が資金力があります。有料のアプリをダウンロードしたりアプリ内で課金したりといった可能性が高いので、iOSの方がマネタイズしやすいということです。
もう一点iOSの方がマネタイズしやすい理由があります。それは、App Storeはクレジットカードの登録が必須ということです。クレジットカードの登録をしている分有料アプリの購入や課金を手軽にできるので、ユーザーから見てハードルが低いです。
この二つの理由から、iOSの方がマネタイズしやすいと言えます。
開発のハードル
開発のハードルはiOSアプリの方が低いです。理由は、XcodeというiOSの開発ツールが使いやすいからです。直観的な操作で開発を進められる部分が多く、プログラミングが必要な部分もツールの使い方で迷うようなことがほとんどありません。
また上でも少し触れましたが、Androidと違ってバージョンや端末を細かく気にする必要がありません。この点からも、開発のハードルが低いと言えるでしょう。
不具合の少なさ
Androidはバージョンや端末の幅が広いため、不具合が発生しやすいです。リリースの際の審査が緩いので、その結果バグを抱えたアプリも多いという理由もあるでしょう。不具合が発生するとその都度対応が必要になってくるので、リリース後も大変さがあります。
iOSの方が不具合は少ないので、リリース後の手間が少なく済むでしょう。
リリースの費用
iOSアプリのリリースには年間99ドルがかかりますが、Androidアプリのリリースは初回に25ドル支払えばそれ以降はお金がかかりません。そのためリリースの費用という観点ではAndroidの方にメリットがあります。
ただしAndroidの方はリリース後に突然サービスが停止になることもあります。iOSの方がコストがかかる分安定稼働しやすいので、費用がそこまで高くないことを考えると力を入れたいアプリほどiOSの方が安心感があるでしょう。
初心者には特にiOSがおすすめ
iOSとAndroidを比較すると一長一短ですが、スマホアプリ初心者の場合は特に開発のしやすさが重要でしょう。Xcodeの使いやすさやテストの簡単さを考えると、初心者には特にiOSがおすすめです。
iOSの開発スキルを身に付ければその後Androidでも同じ設計のアプリを作れるようになるのが早いので、いずれにしても最終的にはiOSにもAndroidにも対応できるようになるでしょう。
最初はとにかく挫折せずに続けることがもっとも重要なので、iOSから入って、プログラミングに集中するのがおすすめです。
まとめ
iOSとAndroidを比較すると、一長一短です。どちらも良い点、悪い点があるのですが、スマホアプリ開発の初心者ほどiOSの方をおすすめします。特に開発しやすいという理由が大きいです。
iOSのアプリ開発を挫折せずに継続できればスキルが身に付き、そのスキルを活かせばAndroid開発への移行もスムーズです。とにかく最初は続けることが一番重要なので、挫折しにくいiOSから始めることをおすすめします。
監修者
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エンジニア経験0の状態から1年間独学で勉強して独立
さまざまなiOSアプリの開発に携わる
2021年6月にiOS専門のオンラインプログラミングスクール「iOSアカデミア」を開校。iOSエンジニアを目指す人のサポートにも力を入れています