今回は、名古屋大学工学研究科にてマイクロ・ナノ機械理工学をご専攻の後、某大規模サービスを運営する企業にて2020年からiOSアプリ開発エンジニアとして活躍されるAKADAさんがご登場です!実はこのAKADAさん、ご経歴ふくめ殆ど表には出ていない情報が多いのです…今回は、アプリ開発へとご転向された背景や感じていらっしゃる面白さ、一味違う学びのスタンスなどについて、じっくり紐解いていきます!
プロフィール
AKADA:以下「AKADAさん」
2020年に名古屋大学大学院工学研究科マイクロ・ナノ機械理工学専攻を修了の後、某大規模サービスの運営会社に新卒入社されました。詳しくは本インタビューにて!
インタビュワー
名大の工学研究科から某大手サービスのiOSエンジニアへ
工学研究科の異分野からiOSアプリ開発へ!
―――早速ご紹介しましょう!AKADAさんです~!本日はどうぞよろしくお願いいたします!
よろしくおねがいします。僕まだ2年目なのでそんなに派手なこと話せないかもですが。(笑)
―――新進気鋭が伝わってきて逆に怖い…(笑)実は、誰もが知る大規模サービスを運営する会社にてiOSアプリ開発を担当されていらっしゃるAKADAさん!明かせる範囲で、今のお仕事についてお聞かせ頂けますでしょうか?
はい、某社に新卒で入社して、現在2年目のiOSエンジニアです。サービスのiOSに特化した部分をSwiftやXcodeを用いて全般的に担当しています。僕含めてチームは数名ですね。
―――AKADAさんは、入社前までは名古屋大学工学研究科にご在籍でしたよね。現在のお仕事との関連はおありでしたか?
いえ、全くなかったです(笑)研究ではシミュレーションでソフトを触ったりはしていましたが、専門は機械なのでソフトではなくハード寄りですし、同研究科の友達たちは自動車メーカーや製作所に就職した人が多かったので、卒業後の進路としてもかなりレアケースだと思います。
UXデザイナーとして
―――率直に、なぜ全くの異分野にキャリアを進められたのでしょうか?
実はITベンチャーで働くイメージというのは、研究科に居たころからあったんです。というのも、ITベンチャーでUXデザインのバイトをしていたので。
―――え、すごい!後で掘り下げたい部分ですが、AKADAさん、凄いクオリティのイラストを時々Twitterでさらっと投稿されていて元々プロの方なのかなとひそかに思っていました。
いやいや(笑)大学院入試が終わって、いざバイトを探す場面で時給も仕事の面白さも満足できるところが良いな、と思って探していましたが、自社で作ったIoT製品を置いているロボットバーのバーテンのバイトを始めて、バーを撤退する時に、会社で開発を手伝わないかというお話をいただきました。
iOSアプリ開発のキラキラ感に惹かれてシフトチェンジ
――――なんかカッコいいです。エンジニアリングでは、WebではなくiOSを選んだのはなぜでしょうか?
入社してから一通りの研修を受けて、インフラやバック、フロント等の仕組み全般を触ってからいざ自分の専門を決める段階で、自分でも普段から沢山触れそうな分野としてアプリを選んだ感じです。
そもそもの話ですが、僕自身ながらく情報端末としてはメインでPCを触っていたので、スマホというのは比較的新しくてキラキラした機械だったんです。任天堂のWiiのような、特別なイメージを抱けるような…。
例えばWiiの場合、自分でWiiのソフトを作りたければ、ゲーム制作会社に勤務して、それを販売するところまでこぎつけてようやくユーザーが触れるじゃないですか。でもiPhoneの場合、それと同じくらいキラキラした端末で、動かせるもの(アプリ)を自分で作れるというのが面白いなと感じていました。
―――自ら作ったものを動かせる、という根本的なところに惹かれたんですね。
そうですね。それは今でもずっと面白いと思っています。
あとは、一人でサービスを作りやすいところも魅力的に思えました。自分が研究科まで進んでみて、ハードウェアというものをそれほど面白いとは思えなかったんですよね…一人で機械作ってそれを売る人ってなかなか居ないじゃないですか。
対してiOSアプリ開発なら、一人でも作ることができて、早ければ数日でリリースまでできる。ゆくゆく個人でやっていくなら、IT系に新卒入社するのが一番の近道なのかなって。
頑張っているアピールはしない、意識“低め”というポリシー
随所で垣間見えるクリエイター気質
―――「一人でサービスを作る」という構想が既にあるのが凄いです。
元々昔から何かを作るのは好きで、これがあったらいいな、とか、やってみたいなって思った時に行動するみたいなタイプだと思います。中学の時、友達と「動画作ったら面白くない?」って話になって、実際に作ってそれをYouTubeで公開したりとか。今思うと恥ずかしいことも色々やってきてますね…(笑) あとは思いついてTシャツ作って一人で着てたりとか。
―――完全にクリエイター気質ではないですか!絵もその一環でしょうか?
絵は完全に趣味ですね。でも思い出せば、物心つく頃から描くことは好きで、ずっと続けています。高校・大学と美術部に入って、でも大部分は自分一人で描きたいときに描く感じです。
息抜きとか、感情を発散する手段として一番効果的なんですよね。描いたものをPixivとかTwitterとか、昔で言うとお絵かき掲示板に載せたりしていました。ペンタブという存在を知らなかった頃は、PCのベジェ曲線使って頑張って描いたりとか。
―――職人過ぎる(笑)そしてほぼ独学なんですね。スキル向上はどのようにされたのでしょうか。
本を読むのが効果的だったと思います。一人で描いているだけでは自分に何の情報も無いので…やはり本はまとまっていますし、興味があれば一人で学べるものなので。
努力しているアピールはしない
―――随所でストイックさが垣間見えますが、AKADAさん表面的には、あまりそういった軌跡の発信をされませんよね。
いや、だって意識低い方がカッコいいじゃないですか…(笑)
―――今の時代珍しいタイプでは?!(笑)現代は、意識高い発言が比較的ウケやすい気がします。
意識高い発言が多いのは、恐らくですが、皆就活の時にちょっと意識高まっちゃう傾向があるからかなと思うんです。
もちろん僕も例に漏れずそういう時期があって、カタカナ語を多用したり、「忙しくても俺は滅茶苦茶働いて滅茶苦茶稼ぐ!」みたいなことを口に出していたこともあったんですが、思い出すとひたすら自分の思想との矛盾を感じて気持ち悪いです(笑)そもそも努力しているアピールって、あんまり意味ないんですよね。
―――実際自分がやっているならそれで良いと。
学生時代試験勉強とかで、大体比較的「何とかなるだろ!」と言って、皆が焦ってやらないとと騒いでいる横で眠れる方だったと思います。実際は、もちろん陰で勉強していますし、裏付けがあるわけですが、根拠がない自信というのもあります。
楽観主義とのバランスで自分を追い込め!
―――根拠がない自信…それもAKADAさんの強みなのでしょうね。
僕は楽観主義なんだと思います、たぶん他の人と比べて。どんな性質も二面性があるので、悪いところもありますが、深く悩まない、何でも楽しんでやれるというのは強い点かなと思います。
―――意識高いアピールをすることなく楽観的な姿勢を貫ける極意は何でしょうか?
両者を組み合わせるということだと思います。必要なのは、俺これだけやっているんだ、とか頑張っているんだ、っていうアピールではなくて、人前で楽観的な姿勢を見せることで大口叩いておいて自分を追い込むということです。
イメージって大事だと思っていて、将来なりたい自分の姿も、もしそれがあるなら、口に出すことで叶いやすくなると思います。
―――過程をアピールするのではなくできたときの姿で魅せていく、という姿勢ですね。
まぁ研究は向いてなかったんですけどね!(笑)開発で問題が起きたときなども、苦しいとは思わない方なので自分のそういう姿勢には比較的助けられているのかなぁと思いますね。
iOSエンジニアリングの楽しさと、2年目の難しさ
研究と違い「調べたら答えに辿り着ける」開発
―――研究時代のお話もできればお聞きしたいんですが、率直に、院で工学研究を行うのとiOSエンジニアとして働くのとではAKADAさんにとってどちらが楽しいですか?
断然働く方ですね。研究は、研究者タイプの人がやるべきなんです。わからないところを突き詰めて追いかけていくような人達ですね。
確かにエンジニアも研究者タイプの人は向いていて、自分からフレームワークやアーキテクチャをどんどん知っていくことが出来る人はやっぱり強いと思います。ただ、そうじゃない僕のような人間もなんとかやっていけます。僕はどちらかと言うと「動けばいい」派なので(笑)
―――研究と開発、両者にはどういう違いがあるでしょうか。
苦しさが全く違うと思いますね。研究でわからないことがあるときって、調べてもほとんどの場合何も出てこないんですよ。これから自分がやろうと思っている研究というのは、大概最先端のことで、まだ前例のない部分を進むものなので。
これに対してプロダクトとしてのアプリ開発となると、大体のことは調べたら見つけられますし、ライブラリもちゃんとあります。僕が研究していて最も辛かったのはこの点なので、アプリ開発でわからないことを調べたらちゃんと見つけられるというのは、気持ちの面でものすごく助かっています。
アプリ開発で最先端を追及している人ももちろんいますけど、やらなくても済むなら個人的にそれに越したことはありません(笑)そして、実際やっていて楽しいのは事実なので。
「動く」って面白い!
―――プログラミングについて、やっていて楽しいというのはどういう時ですか?
ITの分野から来たわけでない身としてはまだまだ基礎が浮ついていて勉強中ではあるんですが、アプリが動くという点はシンプルに面白いです。
デザイナーとしてのバイトをしていたころ、そのままデザイナーになる道を考えたこともありますが、デザインってそれだけだと動かないんですよね。プログラミングではそもそも”Hello, World!”の時点でかなり面白かったので、紆余曲折ありましたがこちらに来て良かったと思います。
個人開発でもアプリを作っていますが、仕事が終わってから夜中までコード書いていたりするので、自分でも意外と向いているんじゃないのかなって。
―――さらっと個人開発!!!何を作られているんでしょうか!?
『メシイル』というアプリをリリースしています。
【?】『メシイル』とは!?
メシイル – iOS app by Teppei Akada
家族やカップルで晩御飯の予定を共有するためのアプリです。一週間分のごはんについて、要るか要らないかを共有するというシンプルな機能で、僕は今同居しているんですが、同居相手と頻繁にこういうやり取りをすることから思いつきました。
―――リリースまではどれくらいの期間が掛かりましたか?
Swiftの勉強も兼ねていたので、週末のみの開発で1ヶ月くらいでしたね。集中する時は1日8時間くらい作業し続けたり…機能を絞って早めに作りたいと思っていたので。
リリースした後にちゃんと改修していかないとユーザーさんもついて来ないので、この先も大変だなとは思いますが、当分はこれと、もう一本今構想を練っているアプリの2本立てで行きたいなと思っています。そちらをサービスとして当てられたら安泰かなって。
エラー全てが面白い2年目の今
―――iOSエンジニアとしてAKADAさんが楽しさを感じるのはどんな時でしょうか?
サービスの性質上、ユーザーが沢山いるので、新機能が搭載されるとすぐ話題にしてもらえたりとか、実際使った感想がすぐネットで見られたりと、自分が出したものがちゃんと使って貰えている感があるのは良いと思います。
一番「やったー!」と思うのは、悩みに悩んだ末アプリがちゃんと動いたときですね。一度アプリで原因不明のバグが出たことがあって、本来出現することのない画面が表示されたまま消えないという報告が多数上がりました。
でも、ユーザーのそういったケース報告に対して、こちらの画面ではそのエラーがまったく再現できなくて。修正を3度ほど重ねても一向にバグが改善されずに困ったんですが、そこで「さすがにこれは本腰入れてやらないと」と思い至ってガッツリ取り組みました。結果バグが解決したときは、働き始めて一番の達成感がありました。僕、さっきも言ったように基本的には突き詰めていく研究者タイプではなくて「動けばいいや」って方なので…(笑)
―――なんだか緩く聞こえるんですが実際は戦場ですよね!?そしてエラー解決が楽しいというのはエンジニアの根幹的な才能かなと思います。
今は経験も浅いので、出会うエラー自体全て新鮮で面白いのはあると思います。同じエラーって無いので。今後これは変わってくるかもしれませんね。
リモート時代のコミュニケーションの重要性
―――2年目というともっと苦しみが多い期間かと思っていました。大変さを感じることもありますか?
ありますよ!比較的努力できる方だと思いますが、今ちょっと成長を感じられていない部分もあり、具体的な目標をみつけることが必要だと思っています。
任される仕事の範囲もできることも確実に増えてはいますが、僕は厳しくされたり宿題を設けられた方がちゃんとやるタイプなので、敢えて他の会社の指針や目標みたいなものを検索して自分の中で目標を立ててやってみたりしています。
あと、組織で働くうえで一番大変なのはコミュニケーションです。今はリモート主体になって僕も入社してから3度ほどしか会社に行っておらず、メインはテキストコミュニケーションですが、なんとなくキツくなりがちなので難しいなと思っています。
僕、論理的に書くことやしゃべることが結構苦手で、質問事項を作るのにも悪戦苦闘していたりするので、ここは解決していきたいですね。何事も何だかんだコツコツやれる人がやっぱり強いですし、僕の場合全体を把握してぱっと見わかった気になりやすいので、そこも気を付けたいと思っています。
―――自己分析が滅茶苦茶丁寧…!こういう先輩居てほしいです。組織内でマネージャー等管理のポジションを考えたりはしますか?
そこまではまだわかりません。でも、人に教えることで自分も勉強になることがあるし、僕自身学ぶ人に寄り添える方かなとは思います。高校の時も、文系クラスに行って数学を教えたりしました。
僕は分かりやすく説明することが得意というわけではないんですが、「わからない」気持ちはよくわかるので、学ぶ人の感情を理解することはできるのかなと思います。
数学も、教えながら板書しますが、途中で普通に間違えたりしていました(笑)でもそれが深い理解に繋がったり、そこから一緒に学べたりするんです。なので、今後会社に後輩が入ってきたときも、まずはテキストでのコミュニケーションもなるべくハッピーな雰囲気で頑張りつつ、指導していけたらなって思います。
―――随所で優しさが垣間見えるお人や…
駆け出しエンジニアへのアドバイス
プログラミング初心者が学ぶためには
―――他人に努力は見せず、ひたすら一人でコツコツ派のAKADAさん。まず、これからプログラミングを学ぶ人に対して、勉強のアドバイスを頂けますか?
まずは目標を持つと良いと思います。
実は、最近駆け出しエンジニアの人を指導する機会があって。TikTokでアプリを作りたい人とコンタクトを取り合って、僕がメンターとしてその人のアプリ開発をサポートするといったことをやりました。
その人の場合、既に作りたいアプリという明確な目標があったことで、100日という短い期間でリリースすることが出来ました。だから、目標があるというのはとても大切だと思います。
―――勉強方法は、やはりAKADAさんのような指導者に指導してもらうのが良いのでしょうか。
もちろん僕のように本を買うのもありですが、iOSアカデミアのように質問できる人が居ると良いと思います。正直、先に紹介したアプリ開発のメンター指導生も、聞ける相手が居なかったら完成は難しかったのではと思います。
質問することで、相手に質問する力も徐々に鍛えられていきますしね。僕は先の話で、意識高く見えちゃうのが苦手なので、人になかなか質問出来ないタイプだったので、そこはこれから始める人にはぜひ頑張ってもらいたいです(笑)
駆け出しエンジニアは目標を作るところから!
―――ありがとうございます!それでは最後に、駆け出しエンジニアの人に対してアドバイスを頂けますでしょうか!
まずは先ほどお話したように、目標を作ってください。作りたいものがあればそこに向かう頑張り方が全然違ってきます。まず参考書を1冊やりきってから、という人もたまに居ますが、そういう下積みってまず楽しくないんです。なので、まず作りたいものを作る、と言う目標を持つことが大切ですね。
また、アプリ開発を勉強している中で、ある程度リリースできる形になったら早めに世の中に出してしまいましょう。細かいハンドリングや動きのおかしさとかが気になると思いますが、アプリは一旦世の中に出してしまっても後々修正できますし、リリースを早めに済ませることで早くからユーザーの反応が見られたり、カッコ悪いものをカッコ悪いままにしておきたくないという思いから、スピード感を以て修正出来ると思います(笑)
iOSアプリ開発エンジニアという仕事は、個人的には思ったよりもずっと大変です。そして、思ったよりもずっと楽しい。アプリは日常的に使えるので、最初にやるものとしてベストですし、アプリ開発を深めていくことで恐らく他の分野のことも分かってきます。きっとこの道に進んで良かったと思えますよ。頑張ってみてくださいね。
インタビューを終えて
お話を伺う随所で、他人に見せないハードボイルドさが滲み出てくるお人でした、AKADAさん…!工学研究科からiOSアプリ開発という、実はまったくの異分野へのシフトチェンジにもかかわらず、あらゆる研鑽は油彩同様ほぼ独学。今までの積算の上で静かに飄々と立ち、虎視眈々と必要なことを選び取ってゆく姿勢、素敵です。今後の個人開発や後輩指導含め、その活動から目が離せませんね。本日は貴重なお話、まことにありがとうございました!
iOSエンジニアになりたい方に向けて
iOSアカデミアでは現役エンジニアが無料相談を受け付けています。iOSエンジニアに興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
監修者
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エンジニア経験0の状態から1年間独学で勉強して独立
さまざまなiOSアプリの開発に携わる
2021年6月にiOS専門のオンラインプログラミングスクール「iOSアカデミア」を開校。iOSエンジニアを目指す人のサポートにも力を入れています