「開発×デザイン思考で世界をデザインしなおす」iOSエンジニア・UI/UXデザイナー飯倉さんに聞く20代の過ごし方

作成日:2021年11月9日 更新日:2023年6月20日
「開発×デザイン思考で世界をデザインしなおす」iOSエンジニア・UI/UXデザイナー飯倉さんに聞く20代の過ごし方

今回は、立教大学で観光学を専攻されながら既に個人開発で2年iOSアプリを作り続け、10,000DLを突破する『LooSche』の開発者である飯倉大渡さんがご登場!

世界の未来を見据えた国際的な視点、それにあたってiOSアプリ開発の果たす役割等について詳しく伺います!

プロフィール

飯倉 大渡(いいくら・たいと):以下「飯倉さん」

フリーランスUI/UXデザイナー兼iOSアプリ開発者として活動されています。代表作はAppStoreで10,000DL突破したスケジュール管理アプリ『LooSche』。また現在、立教大学観光学部観光学科の学生でもいらっしゃいます。詳しくは本インタビューで!

インタビュワー
SIerでの人事担当、言語教師等を経て現在はインタビューを中心に活動するワーママライター。最近は娘のイヤイヤ期に翻弄され気味。

「iOSエンジニアになる」つもりはない、だが面白くてのめり込んだ

iOSを選んだのは将来性から

―――それではご紹介しましょう!飯倉さんです!

こんにちは、飯倉大渡です!今日はよろしくお願いします!

―――まずは飯倉さん、自己紹介をお願いいたします!

現在観光学を専攻する大学生で、個人開発でiOSエンジニア、UI/UXデザイナーをしています。本格的なアプリリリースは去年の4月が最初で、勉強自体はその1月前の3月くらいから始めました

―――えっ、待って早すぎる!(笑)

ただ、プログラミング自体はそれ以前もしていました。当時Google Pixelを使っていたのもあり、最初はAndroidアプリを作っていたんです。

ただ、調べていくと、日本でのスマホのシェアは約7割がiPhoneで、将来的なことを考えても(僕は今のところ英語以外話せませんから)英語圏以外ではアプリをリリースしないだろうというところから、ここ10年ほどの間はiOSの方が有利だろうと判断して、iOSアプリに方向転換したところです。

起業より前に、作る側のプロセスを知る

―――なるほど!飯倉さんは、現在大学で観光学を専攻されてもいらっしゃいますよね。そもそもアプリ開発を始められた理由は何でしょうか?

僕実は、将来iOSエンジニアになる気は全くなくて。元々、起業したいと思っていて、大学2年生の時に自分で作りたいSNSがあったんです。

それで、当時ベンチャー企業や皆の知っている大企業にもアイデアを持ちこんで売り込みましたが、その過程でとあるベンチャーの社長から「どうせなら、君も作る側のプロセスも知っておいたら?」と言われて始めたのが、アプリ開発の最初のきっかけでした。

いざやっていくとすごく面白くて、そのままガッツリのめり込んだんですね。今も、将来的にアプリ開発で食べていこうとは思っていませんが、時間がある限り10年後、20年後でも続けたいと思っています。アプリ開発自体は、すごく楽しいので。

世界一大きなSNSを作りたい

―――「起業」というと、何か実現したい目標が既におありですか? 

僕がかなえたい目標はいくつか段階があるんですが、まずはその一つ目として「世界一大きなSNSを作る」というのがあります。

もう少し詳しく説明すると、将来的には僕は、世界一のお金持ちになって、世界中に無償教育を提供したいと考えているんです。

小学校5年生の時に兄の本棚で見つけた『世界を変えるお金の使い方(出版:ダイヤモンド社)』という本の中に、1兆2千億円で世界中の子どもが無償教育を受けられるようになる、という記述を読んで、以来ずっとそれが僕の夢です。

そのために、最短で影響力や財力を得るには、過去20年間くらいのアメリカの歴史を見ても、やるならITの分野が良いだろうという結論に至りました。それで後輩とビジネスプランを考えていた時に出てきたのが、先にお話しした「世界一大きなSNSを作る」ことです。

個人的にITに惹かれた背景として、僕はそもそも映画が好きで、大好きな作品であるFacebookの創設者ザッカーバーグを描いた『ソーシャルネットワーク』を見てカッコいい!と思ったのもあると思います。

―――素敵すぎる。夢については後でもう少し詳しくお聞きしますね。現在ご在籍の観光学部へも、起業という目的を見据えて入られたのでしょうか。

いえ、僕は高校が立教大学の付属高校だったので受験をせず学部を選ぶ形だったのですが、当時高校の卒論で書いたテーマが、温泉施設におけるタトゥー規制に関するものだったんですね。

日本の温泉施設では現在もタトゥーが規制されていますが、それが今の時代には全くそぐわない規制だと思い、それについて色々調べたことがきっかけで、観光学に関心を持ちました。

―――そもそも社会問題への関心やイデオロギーへの批判的アプローチが優秀すぎる…

開発×「デザイン思考」で世界をデザイン

デザインの勉強が必要、と気づいたアプリリリース後

―――飯倉さんの特徴として、iOSアプリ開発エンジニアだけでなく、「UI/UXデザイナー」の側面も見逃せません。こちらの素養はどちらで?

はい、大学で有名なインテリアデザイナーのマーク伊東さんという方の講義を受けた時、それがあまりにも素晴らしくて。その影響から、デザインというジャンルに興味を持ち始めました。

元々それとは別に、去年5月に個人開発でリリースしたアプリが本当にダサかったんですよ(笑)字が見えないようなデザインで後から自分でも「何これ!?」みたいな感情になって今はもう公開停止していますが…。それで、これはまずデザインの勉強をしなくちゃだめだ!という自分なりの動機もありました。

本屋で配色の本を買って勉強したり、大学で建築・デザインの授業を受けて黄金比を学んだり、今年8月にはGoogle UX Design Professional全コースを終了したところです。

配色を知り、デザインスキルを磨く

―――ほぼ独学ではないですか…!本屋さんで購入された中で、一番役立ったと思われるものは何でしょうか。

一冊には絞れませんが、僕としては配色に関する書籍だと思います。最初デザインの知識が浅いうちは、デザイナー向けの「ドリブル」というSNSで高い評価を受けている作品を見ても、何が良いのか、何で評価されているのかもわからないんです。

配色に関する知識を得ることで、どういう色を組み合わせると良いのか、様々な色が地域によってどんなイメージを持っているのか等についても知ることができました。例えば、緑という色はアメリカでは安全を意味しますが、他の国によってはあまり良いイメージでなかったりもします。

こういう知識があることで、既にある作品の良さを知ることができますし、僕自身適切な配色ができるようになったと思います。現在も、将来に備えてデザインスキル・デザイン思考を極めて今後10年くらいはこの分野を極めたいと思っています。

「デザイン思考」で世界をデザインしなおす!

―――「デザイン思考」ですか。

はい、様々な仕事がAIにとって代わりつつありますが、デザインは少なくとも僕の生きている間は、恐らく人間にしかできないものです。そして僕の将来的な目標である「教育を広く普及させること」を考えても、世界をデザインしなおすということが一層必要になってきます。

―――世界をデザインしなおす…それは、デザインで世界を変えるということでしょうか。

今より少し前の時代は、デザインがどのようなものであっても、教育に限らず世の中のサービスやプロダクト自体が少なかったので需要がありました。でも今は、すべてにおいて選択肢が膨大で無限に用意されているので、何か新しいことを始めて、それを成功させるためにはやはり「デザイン」が魅力的であることが非常に重要です。

機能ももちろん大切ですが、今後一番大事になってくるのはビジュアルインパクト、つまりデザインだと思っているので、開発でもこの点は大切にしています。

iOSアプリ開発の面白さと、20代に必要な「がむしゃら」さ

日常をクリティカルに過ごすこと

―――飯倉さんはこの1年ほどで既に2,30個ほどと、膨大な数のアプリリリースを経験されていますよね。

公開停止が多いんですよ(笑)リリースしたものの、現在公開しているアプリは5、6個だと思います。

―――それでも十分多いです…開発するアプリのアイデアは、どのように得ていますか?

主に、私生活で不便さを感じるときのソリューションを考える形でアイデアを出します元々何かを発案したりアイデアを出すことはすごく好きで、中学生の時も毎日1個新しいアイデアをノートに書く、といったことをしていたので、この過程はとても楽しいです。

普段生活している中では、まるで全てが便利で悪いところなど一つもないように見えますが、実は不便に感じる面やペイン(pain=障害、リスク、課題や悩み等)って無限にあるはずです。大きすぎるペインは既に解決されてしまっていたり、大企業がそれに取り組んでいたりしますが、小さなペインはまだ見つけられていなかったりもする。

僕のようなお金のない個人開発者が大企業と同じものを創ればどう考えてもこちらが負けてしまいますから、彼らが気付いていない小さな米粒のような部分に目を向けて、アイデアを出す必要があると思っています。

『LooSche』開発は友人との何気ない日常から

――積み重ねられて鍛え抜かれたアイデアマンだったわけですね!ここで、10,000DLを突破したアプリ『LooSche』の開発背景も伺えますか?

【?】『LooSche』とは!?

LooSche – iOS app by Taito Iikura

元々『LooSche』を開発した流れとしては、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大で大学では何もやることがなくなってしまっていた時期に、ファミレスで友達がおもむろに紙の手帳を開き始めてそこに書き込み始めたのを見たのがきっかけでした。

何でもデジタル化されている時代に、何故いまだに紙の手帳を使うのかと尋ねたら、曰く「スマホのスケジュール帳は便利すぎて使いづらい」「入力する内容が大きすぎて細かすぎて、それなら手書きする方がやりやすい」ということでした。それならそのペインを解決しよう、と。

最初はユーザー数も全然伸びなくて2020年中は鳴かず飛ばすでしたが、自分で使ったり、友達に実際使ってもらい感想を貰ってそれを取り入れたりを繰り返して、今年に入ってからDL数が1000を超えました。その段階で大幅なデザインアップデートを施して、そこからは一気に伸びました

開発の楽しさ

―――開発していて楽しいと感じるのはどんな時ですか?

やっぱり発案(アイデアを出すとき)とデザインがやはり一番楽しいですね。自分の中にあるモヤっとしたイメージのようなものをデザインして具体化していく過程はとてもワクワクします。個人開発はこの辺りも自由なのが魅力ですね。

実際開発に入ると、うまくいかない時にストレスを感じることもありますが、やはり完成に向かうにつれて徐々にモチベーションが上がっていって、自分でも良いデザインが出来たときは早くリリースしたいと思うようになります。

公開する時は嬉しさ半分、ドキドキ半分です。自分で良いと思うものが周りからも良いと思われるということに100%の保証はあり得ませんから、そこは常に半々ですね。

―――飯倉さんでも、モチベーションの維持に悩むこともあるのですか?

ありますよ!とにかく「熱」って大事で、僕の場合やると決めたら毎日睡眠を削って開発を続けることもできますが、モチベーションが低い状態のままだと全然進められなかったりもします。だから、スピード感を以て取り組みたければ、自分のモチベーションを維持する努力がとても大切です。特に開発中にそれを維持できるかどうかが重要ですね。

個人的に、開発したアプリを「僕が使うかどうか」という点は開発する中で常に考えていて、最も大切にしているポイントですし、これがモチベーションを左右していると思います。自分が魅力的だと思えないアプリは、周りも魅力的だとは思えないでしょうからね。

20代はがむしゃらに過ごすと決めた

―――これまでのお話を踏まえて、「iOSアプリ開発」は飯倉さんご自身の夢を実現する一つの手段になるでしょうか。

そうですね。ただ、先の目標を見据えたうえで、僕としては、今は当面iOSエンジニア・UI/UXデザイナーとして活躍したいと考えています。

確かに、同じ大学の先輩がベンチャーを立ち上げて成功している様子等を知ると憧れますし、僕もはやく一人前になりたいと思ったり、開発したアプリを大きく育ててそのまま起業する道を考えたこともありました。でも、今は自分のスキルを高めることが先です。

先ほどご紹介したマーク伊東さんが繰り返し「本気でガムシャラに何かをやるのであれば、20代の1~2年なんて捨ててしまっていい。」と仰っていたのがとても印象に残っていて、僕も20代のうちはエンジニア・UI/UXデザイナーとしてがむしゃらに頑張って、自分を高めるための期間にしていきたいと考えています。

駆け出しエンジニアへのアドバイス

プログラミングは幅広い業務に活かせる「考え方」

―――飯倉さんのように、iOSエンジニアとしてのキャリアのみを考えるわけではない人にとって、プログラミングはどのような価値を持つでしょうか。

アプリ開発者になるか否かに関わらず、プログラミングの勉強は「考え方」を学ぶ意味でも非常に役立つと思います。

プログラミングとは、わかりやすく言えば、システムを1から構築していくことですから、どんなジャンルでも会社で働く場合など、何かを創り上げたり、プロジェクトを成功させたりと、これに通じる業務を経験する機会は沢山あると思いますし、実用的な考え方を体得することは非常に強いと思います。

―――iOSアプリ開発の始めやすさについてはどうですか?

iOSの魅力として、まずiPhoneを使っている人ならすぐに作ったアプリを実機で使えるというのは間違いなく強いポイントです。

それから、開発の敷居が低くてコストも抑えられる点もおすすめですね。例えばXcodeについては、本当に簡単で、コードをまるで知らなかったとしても、PowerPointを操作するようにある程度のプログラムが作れてしまいます。

僕も2年前までは初心者だったので、プログラミングというとよくわからない数字や文字の羅列が並んでいるようなイメージを抱いていましたが、実際やり始めてそのイメージは払拭されました。

駆け出しのころは焦らず、歩みを継続させろ

―――駆け出しエンジニアの人に向けてアドバイスをお願いします!

駆け出しの人には、成長する為にも、まずは「焦るな」と言いたいです。

エンジニアを仕事としてやる以上は、お金を稼ぐことももちろん大切ですし、僕自身アプリ開発を始めたばかりの頃は収益重視で広告をぶち込みまくったりしていましたが、自分のスキルが高くなって将来的にユーザーが付いてきてくれれば、そういう部分はカバーできますし、お金を落としてくれる人も現れるものです。

ビジネスの場面では「ファスト(fast)」「急ぐ」ことは必要ですが、時にはそれを度外視して自分のスキルや価値観を磨くことも必要だと思います。

それから、エンジニアに限らずどの分野でも同じですが、とにかく「継続」が大切です。特にアプリ開発では継続的にお金が掛かります。ご紹介した『LooSche』は、10,000DLを突破したとはいえ、まだ数十万の赤字なんです。だから辞めずに続けていくのが結構難しい。

プログラミングを始めたばかりの頃は誰しも、他の人と比べて自分には技術や才能がないということを感じがちだと思います。でもそこで諦めてしまうのではなく、ほんの少しずつでも良い、ステップ・ステップを重ねて、それを毎日続けていくということがとても大切ですし、その為のモチベーションを維持することが、特に最初の1,2年は必要だと思います。

僕もまだまだですし、世界には凄い人がたくさんが居て落ち込むこともありますが、そういう時は自分のアプリのレビューを見たり、マイナスの感情は思い切って無視してしまうこともあります。僕の好きな言葉の一つ「Fake it till you make it.」にもあるように、できるようになると自ら信じ込むことが、成功に繋がるのかなって思っています。頑張ってくださいね!

将来実現したい夢を見据えて

―――ありがとうございます!飯倉さんご自身の夢についても、改めてここで聞かせて頂けますでしょうか。

まず、僕の信念の一つに「平和は教育によって成り立つ」があります。

例えば、今の時代コロナ禍で世界中が大変なことになっていますが、優秀なお医者さんが1000人居る現状を1000万人まで増やせたら、状況を大きく変えられると思います。また、最近よくあるヘイトクライムや差別、暴力・テロなどは、原因を遡れば知識の不足が根本にあり、「相手を知らない」ことにより起こっている現象です。

このように考えると、教育は本当に大切なものです。

世界平和を目指す人は他にも沢山居ますし、世界平和なんて絶対来ないと言う人がいるのも分かっています。それでも、世界が少しでも平和に近づくためには、やはり礎の部分として、適切な意味での教育を行うことが必要だと僕は思います。

何が正しくて何が正しくないかといったことを、幼い頃から世界中の人々が学ぶことで、確実に世界は良くなると思うんです。教育を受けて優秀な人が増えることで、アインシュタインのような100年に1人と言われていた人だってもっと頻繁に現れるかもしれない。

今すぐ世界を平和に変えることは難しいとしても、100年後、1000年後の未来のために、世界中の人が貧富や出身問わず学べる環境をデザインして作っていくことが、僕の夢です

あとは、もう一つの裏テーマとして僕自身先ほどお話したように映画が大好きなので、いつか映画になって、僕と同じように世界を変えてやろうと思っている人のパワーになれたら良いなって思っています。

インタビューを終えて

既に映画の人物にインタビューさせて頂いているようでした…世界平和の実現に向けて志高く目標を掲げられながら、その手段の一つとしてフリーランスUI/UXデザイナー兼iOSアプリ開発者としての活躍で頭角を現す飯倉さん!まさに光のようなまっすぐさと、一つ一つの成長を丁寧に積み重ねられる地道なお姿に、その夢が実現される未来を間近に見るようでした。頼りになりすぎる!飯倉さんの今後の一層のご活躍と、数々の目標実現を心待ちにしております!本日は貴重なお話を頂き、本当にありがとうございました!

飯倉大渡さんの

HP … https://www.taitoiikura.com/ 

Twitter … https://twitter.com/TaitoIikura 

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監修者

山田卓
山田卓init株式会社代表取締役
エンジニア経験0の状態から1年間独学で勉強して独立
さまざまなiOSアプリの開発に携わる
2021年6月にiOS専門のオンラインプログラミングスクール「iOSアカデミア」を開校。iOSエンジニアを目指す人のサポートにも力を入れています
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